「う、ううん。そんなことないよ」

怯えた声で千尋が、何度も繰り返す。隣にいた奈々子も、愛華の表情と口調が怖かった。

「でしょー。さっ、早く屋上に行かないといい場所取られちゃうよ」

愛華はいつもの顔にもどっており、千尋は、ほっとした顔をしていた。

屋上につき、六人で円を作り、弁当を食べ始めた。
他愛のない話をしていると、愛華が急に大きなため息をつく。

「あーあ、もう目障りだから、マリ目の前から消えて欲しーな」

一呼吸置いて、「だよね」とみんなうなずいたので、奈々子もこくこくと小さくそうした。

「あいつが、自分から学校に来ないようにしちゃえばいいんだよ。まず、教科書とか捨てるってのはどう?」

理奈が身を乗り出さんばかりにして、提案する。