穂乃嘉がいるところに行く廊下の角を曲がる寸前で、親父に止められた。 『ん?』 俺が言うと、 親父は、顎(アゴ)で穂乃嘉の方を、そっと指した。 俺がそっと角から覗くと、穂乃嘉が手で涙を拭きながら、携帯を見ていた。 友達からのメールかな…? 俺は思いながら、親父の方を見て、また穂乃嘉に目をやった。 穂乃嘉は泣きながら、戻ってきて、イスに座り毛布をかけて丸まった。 『本当は辛くて辛くて、今にも壊れちゃいそうなんだね…。』