【3】晴れてます

進路を文系に定めた生徒たちにとって、生物の授業はさほど重要ではない。

もちろん大学入試で利用することもあるが、他の科目に比べたら、その置かれるウェイトは軽いといっていい。

僕が授業を受け持つのは、三年の文系クラスに、一年の全クラス。

ほとんど機能していないとはいえ生物部なだけあって、麻生は僕の授業にもそこそこ積極的に参加していた。

「実験って、みんな必要ないんですかね」

5月の始め、またしても日直の回ってきた麻生は、僕とともに実験器具の後片付けをしながらそんなことを口にした。

あれから麻生は僕に、由紀のことを聞こうとはしない。