「人のお世話?」


何故疑問系なのかと、山崎はクスッと口角を上げた。


「副長は人使い荒い人やからな」


成る程と、妙に説得力を感じた矢央はハッと顔を上げた。


「もういないよ」


本当に無駄の無い人、という印象が山崎についた。


再び一人となった部屋で、矢央は考えにふける。


大分わかってきた、自分の置かれた立場。


きっとお華が矢央をこの時代に導いている。

その不思議な力は、矢央自身にも宿っていて、彼女は自分にこの時代で何かを要求しているのだろう。


悲しみに溺れているお華は、今も彼らに執着していて、彼らの中にもずっとお華が存在している。


でもどうしても、まだわからないことがあった。


どうして、あんなにもお華と自分が似ているのか。

髪の色が違うだけで、背格好はまるっきし同一人物と言っても疑われない程に似ていた。


夢の中で、お華の記憶の中でしか会えない二つの存在。



「私、どうしたらいいの―…」


この時代で、自分に何をしろと言うのかわからない。

彼らとお華の関係と、お華の過去は夢の記憶と沖田達の話でわかったけれど。


やはり、たくさんの謎はまだ残されたままだ。


「考えても仕方ないか」

一、二回、言い聞かせるように頷くと矢央は布団から出てぎこちない動きで布団を畳む。

押し入れにしまうことはさすがに出来ないので、隅に布団を寄せると縁側に出て伸びをした。


「行き詰まった時は、気晴らししなくちゃね!」