石段を駆け上って来た四人が目にした光景。

それは、血溜まりの中でお華を抱きしめたまま動かない沖田の姿だった。



「どう…なってやがんだ…」


土方はその殺伐とした光景が信じられず、足が動かない。


「お華ちゃんっ!?」

「惣司郎っ、何があったんだ?」


二人の側に駆け寄った藤堂と永倉は、俯き震える沖田を見た。

側には血に染まる刀が転がっていた。


誰もが沖田がこの刀を使ったことを知り、そしてその犠牲になったのがお華だと知ると愕然と膝を折った。



目が綴じられれることがなく、血の涙が頬をつたう。



「…そう…じ…く……」


最後の言葉は、


「ごめん…な…さい……」


沖田に対しての謝罪だった。


守れなかったことへの、決して汚れてほしくない笑顔を守れなかったことへの謝罪。


お華は、僅か十五の短い人生を終えた。



「お華ちゃんっ! お華っ!」

「平助……もう……」


血に染まったお華に抱きつく藤堂の肩を永倉が支える。


「お華………」

「こなくそめっ!!」


土方、原田は悔しさに歯を食いしばり。


一番に守りたかった少女を、自らの手で死に追いやってしまった沖田は………


「お華……起きて…おき…てよっっ…」


もう二度と目覚めることのない少女の頬にたくさんの涙が零れ落ちる。



「…うっ…うわぁぁあぁぁぁ!!」



それは、沖田達が京へ上がる二年半程前の悲しき別れであった―――――――――