やはり間違いだった。
生まれ変わりと言えど、全く違う人格を持って産まれた矢央を呼んだことが、そもそも間違いだった。
「矢央さん……私は、あなたになりたい」
「え?」
どんなに説得しても無駄なのだろうか。
とうとう矢央にまで、お華の牙が向けられた。
大蛇がグルグルと巻きつき、体に食い込んでいく。
「うっ……」
「矢央っ! よせ! お華っ!」
永倉の制止の声。 そして、斉藤は何とか刀を抜こうともがく。
「あなたの側にいる間、あなたの治癒の力を少しずつ奪い、私は表に姿を見せることが出来るようになったわ。
力を奪い、あのままあなたが帰って来なければ、私があの場所にいることが出来たのよ」
「…おは…なっ……」
沖田の呼びかけにすら反応を示さなくなった。
ただ憎く、ただ羨ましく。
矢央への嫉妬は止まることはなく、大蛇へと姿を変え絞め殺そうとしていた。
「わか…てないよ…」
「?」
絞り出した声は、意外と闇に響いた。
震える手は、大蛇の肌へグッと爪を立てる。
「わ…たしだって寂しかったっ! わたし…だって辛かったよ!」
お華は自分だけが孤独の中にいると主張するが、果たしてそれは正しいのか。
「突然こんな時代に…連れて来られて…怪しまれて…信用してもらえなくて…。 みんなが、私を見る目は…いつもお華さんを見る目だった!!」
知らぬ時代で誰も頼れず、口先では仲間だと受け入れてくれた壬生浪士組。
しかし実際は、いつも見張られ自由に動けず、信じてもらえていなかった。
好奇の目で見られ、居心地の悪さを感じていた。
「お華さんは…ずっとみんな心の中にいて…私は比べられて。 帰りたくても…帰り方も分からなくて……」
勝手すぎるではないか。
勝手に連れて来て、邪魔になればいらないなどと。
「あんた一人がっ、苦しいと思うなっ!」
――――――ズサッ!
その時だった。 沖田と矢央に巻きつく大蛇の体が地にバラバラと落ちる。
.



