「熱いから火傷しないように」
「はぁい」
湯のみを受け取り、ふぅふぅと湯気を揺らす。
もうそろそろ熱いお茶が嫌になる季節が来るな、と感情深げに浸っていた。
そんな矢央をそっちのけで、四人は最近の騒動について語り始めた。
「それで、奴はまだ吐かねぇのか?」
「ああ、まだみてぇだな」
「土方さんが、はりきっちゃって困りものですねぇ」
「そういやさっき、全身黒ずくめで前川邸に行く土方さん見たんだけど……」
「……こりゃ、血を見るな」
恐ろしい会話に、矢央は意外にも冷静だった。
お茶を一口飲み込み、ふぅと一息つくと庭に目を向ける。
それは朝早くのことである。
矢央が手に入れた情報をもとに、後を継いだ山崎は長州藩の動きを探ろうと、薬屋に変装し池田屋に泊まり込んでいた。
その時に得た情報から、四条小橋の古道具屋の桝屋喜右衛門が怪しいとなり
一番隊と二番隊は桝屋に踏み込んだのである。
そして怪しい動きをみせた喜右衛門を捕らえ屯所に連れ帰ったのだった。
「矢央の手柄でもあるな」
「私は、何もしてないですよ?」
ふいに名前を呼ばれ、きょとんとする矢央。
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