「矢央ちゃん、団子食べる?」

処罰から解放されて一日経ち、矢央はまた沖田らと寝床を共にしている。


まだ療養中の矢央を気遣い、藤堂は巡察の帰りに団子を買って帰ってきた。


二人で食べようと嬉々しながら部屋を覗いた藤堂は「げっ」と、表情を引きつらせた。


「よお、平助ご苦労さん」

「なになに、団子があるんだって?」

「平助さん、お帰りなさい」


矢央だけに出迎えてもらえると思っていたのに、余計なのが二人。

原田と永倉は、にやにやと笑いながら藤堂を招き入れた。


「言っとくけど、あんたらの分はないからな!」

「はあ? お前は薄情な野郎だな。 普通土産っつぅのは、みんなに買ってくるもんだろう?」

まだ布団から出られない矢央の周りに、囲うように座る三人。

「つぅか左之さん、あんたも巡察だったよな? なんで、もう寛いでるわけ?」


土産を買うために早めに切り上げたことは突っ込まさせず、原田に尋ねる。


両手を後ろについていた原田は、藤堂の手に持たれたままの土産を奪い取る。


「あっ! だぁから、それは矢央ちゃんにだっつぅの!」

「まあまあ細かいことは言うな。 お前は、コレでも食えや」


奪い取った団子の替わりに原田が差し出したのは煌びやかな包み。


「原田さん、金平糖をくれたんですよぉ」

「ついでに、俺も団子だ。 被るなよなぁ、馬鹿平助」

「なっ! 馬鹿はないだろっ、新八さんっ」


つまり、皆、矢央に土産を持ってきたというわけだった。

早く元気になれよ。 と、原田は矢央の頭を撫でる。


くすぐったそうに笑う矢央。


「っちぇ…。 先こされたわけかよ」

「そうふてくされないで、みんなでお茶でも飲みましょうよ」

ね(?)、と廊下から現れたのは、沖田だ。

お盆の上には、藤堂が帰って来るのを予想して五人分の湯のみが乗っている。


「……総司まで」

「あはは。 私は誘われたんですよ」

落胆する藤堂の隣に腰を下ろし、にこにこと楽しそうに見ていた矢央に湯のみを手渡す。


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