ゾクッ! 背中に嫌な視線を感じた。 見てる見てる。 矢央が逃げるように去ってしまった藤堂の話を知りたいと言ったような視線を、残った永倉の背中に投げている。 振り返るしかない状況に頭をかきながら仕方なく振り返ると。 キラキラとした眼差しを向ける子猫が自分を見ているではないか。 ーーたくっ平助の野郎、後で覚えとけよ。 「……ックションッッ!…ん?」 「藤堂先生、風邪ですか?」 「ん? 多分…違うかなぁ。 あはは…」 鼻を啜る藤堂は、今し方出て来た屯所を振り返り苦笑いした。