矢央は返してもらった石を掌に乗せ眺めている。
その様子をチラチラと見ては逸らすを繰り返す藤堂に気づき、チラッと伺い見た。
「さっきから何なんですか?」
「やっぱり、似ているなと思って」
「似てる?」
そういえば此処にやって来てから会った人達は、最初から自分を見る目に違和感があると感じていた。
懐かしむような視線と、人によっては愛しむような眼差しを向けられていたはずだ。
どうやら彼らと深い関係にあった人物と自分が似ているらしいと知った。
「誰です、その人?」
矢央にとっては普通な質問だが、藤堂にとっては胸を突く質問。
急に暗くなった藤堂に慌ててしまった。
聞いちゃいけないことだったのだろうか?
だけど知らないことを知りたいと思ってしまうのが矢央の性格だ。
「……お華ちゃんはね、僕らにとって妹みたいな存在で…でも、総司にとっては違うかな」
「妹さんですか?」
「うん。 可愛い子だったよ。優しいし気がきくし頑張り屋だし。 家族を亡くしてから近藤さんにお世話になってた子だから、事実上は妹じゃないけどね」