濡れた袴を握りしめ俯く矢央を見つけたのは、今し方朝稽古を終えて来た藤堂。 先程怒らせてしまった経路を思い出すと声をかけるのを戸惑うが、明らかに落ち込んでいると見て取れる矢央が気になる。 藤堂は一瞬視線を逸らしたが、意を決して声をかけた。 「間島…さん、どうかした?」 声をかけられた矢央は、ゆっくりと藤堂を振り返った。