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矢央の捜索が始まって三日目の夜、土方達が予想すらしていない場所で矢央は目を覚ました。
「―――ん…」
視界に広がるのは、低い木の天井。
見慣れた天井のはずなのに、何処か違うそれ。
「やっと起きたか」
聞き慣れない声に、其方に顔を向けた矢央は痛みに襲われ眉間に皺を寄せた。
胸から腹にかけてが鈍く痛みが走る。
ああ……そっか。 楠さんの傷だ。
どうやら上手くいったらしいと安堵していると、また声をかけられた。
「おまん、一体何者じゃ?」
「……人に尋ねる前に、まずあなたから名乗るのが筋ってもんでしょう」
この台詞も懐かしいものだ。
どうやら此処は新撰組屯所ではないらしいのは、名を尋ねられれば分かる。
数ヶ月共に暮らしたあの場所に、矢央を知らない者はいないからだったが、だとすれば此処は何処なのか。
「助けられておって、生意気な女ぜよ」
ぜよ? 何処かで聞いた事がある方言だ。
何処だったっけ、と朦朧とする意識の中で記憶を辿っていると、ドタドタと遠慮のない足音が近づいてくるのが分かった。
矢央が顔を向けたのと同時に、勢いよく襖は開いた。
スパーン!と勢いまかせに開かれた襖から覗いた顔に見覚えがあった矢央は、「あ」と声を漏らした。
「おお! ようやく目覚めたがか!? おまんは、よお驚かせてくれるぜよ!」
「坂本…龍馬……」
無造作ヘアに聞き慣れない言葉。 人懐っこい雰囲気に、直ぐに記憶が蘇る。
矢央が町中で迷子になったある日、危険を省みず屯所まで案内してくれた人こそかの有名坂本龍馬だった。
その坂本龍馬が、何故此処にいるのかさっぱり状況が分からない。
坂本は布団の側にドカッと座り込むと、青白い顔の矢央を上から覗き込んでいる。
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