永倉は、その心の内に気づいてはいた。


「どうしたらいいんですか……。 私は、矢央さんを信じてあげたい…でも、お華が死にきれていないのならばそれはきっと私のせいだっ……」

「それは違うっ。 総司よく聞け、あれは仕方がなかったんだ。お前でなくても、きっとああなってた」


体を折り頭を抱え床に突っ伏せてしまった沖田の隣に、永倉は移動した。


ガクガクと小刻みに揺れる細い体を優しく宥めてやる。




まだ沖田は自分を攻めている。
未だにお華を殺したのだと、自分を攻め続けている沖田が痛々しい。


「矢央さんを受け入れました。 それでも、私の罪が消えるわけじゃないっ! お華を、お華を苦しめて…私は、どちらかなんてっ……」

「わかった。 わかったよ…」

「ズッ…クッ……」


何人も斬ってきた沖田の唯一の弱さ。


お華は、沖田にとって切れる存在ではなかった。


奥歯を噛み締め、声を堪える沖田の頭を永倉は抱き込んだ。

左肩に額を預け涙を流す沖田。

「………はあ」


永倉は気づかれないように小さく息を吐きながら、皮肉な程に晴れ渡る空を見つめていた。



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