沖田の笑う姿を眺めていた永倉は浅く息を吐いた。


「総司……無理して笑う必要ねぇから」

「…………ハッ、私、無理してますか?」


顔が引き吊っているぞ、と永倉は自分の頬をつついて教えた。

すると沖田は自分の頬に手を寄せ、ピクンッと体を跳ねさせた。


「……わかりません。
矢央さんは矢央さんだと、それ以外の何者でもないと思おうとしたのにっ」


「……おーい、それ以上は俺に言うべきじゃねぇだろ」


沖田は、ハッと我に返った。

今、芹沢暗殺の日のことを言いそうになった。


お華と矢央のこと、暗殺のことと色んな葛藤が沖田の中で渦巻いているのは、永倉にも予想はついている。

が、それを語る相手は永倉ではいけないのだ、と永倉自身が沖田を制した。


「隠し事つぅのはよぉ、墓場まで持ってくもんでぃ」


グッと、唇を噛み締めた沖田。

「ただ一つだけ言っとくが、総司……お前は、どちらを選ぶ?」

「どちら…とは?」


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