「休んだおかげで、大分自由に動けるの。 どう? たまに記憶が曖昧な時はないかしら?」


矢央は、ハッとした。

それはお華の言葉に思い当たる節があるからだ。


未だに時々記憶が飛んだりすることがあった。

大抵は縁側にいる時に起こるので、うたた寝でもしたのだろうくらいにしか思っていなかったのだが………


「もしかして…また…」

「さあ? それよりも、こんなところでグズグズしていると大切なものを失うかもしれない…わよ?」

「……っ! あんたって、やっぱり最低だっ!」


お華は矢央の知らぬところで彼女を操り何かを仕掛けたに違いない。

矢央はお華の笑みを見て、そう確信した。


そして、困惑したままの永倉の制止を抜け走り出していた。



「矢央ッッッッッ!!」



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