駆け抜けた少女【完】



「どんな理不尽なことがあっても、自分の志を曲げちゃなんねぇってことだ。
誰に何が起きて、それがどんなに納得いかねぇことだとしても、お前は此処にしがみついて離れるな」


永倉の言っていることは、今の矢央には難しく理解不能だった。


壬生浪士組以外に自分の居場所はない。

近藤達に助けてもらったのだから、近藤達のために此処にいたいのだから。


なのに"しがみついて離れるな"とは、どういう意味なのだろうか。


首を傾げる矢央に、今後はフッと笑ってみせる永倉。


「難しく考えるな。 何があっても、此処から…否、近藤さんの下から離れるな。 壬生浪士組に入隊したからにはな」


「…はい!」


「よし! いい返事だ」


堅苦しい空気を和らげたのは、くしゃくしゃに頭を掻き回され「うひゃっ!」と、気の抜けた矢央の声だった。


「隙ありだな。 いつ何があるかわかんねぇんだ、気を抜くなよ?」

「ぶぅ…。 せっかくのおだんごぐしゃぐしゃじゃん…」


ボヤく矢央を見て、顎を突き上げ笑い声をあげた永倉。


それを見て、久しぶり安堵感に包まれた矢央だった。



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