どうします(?)と、視線で伺う矢央を見て藤堂はフッと頬を緩めた。


やはり居心地がいい。



「矢央ちゃん。 布団はいいから、ちょっとこっち来て」


床に腰を落とした藤堂は、刀を体の脇に置いて矢央を手招きした。


呼ばれた矢央は押し入れの戸を閉めて、藤堂の前に腰を下ろした。



キョトンと藤堂を見る矢央を、優しい眼で見つめる藤堂。




「改めて歓迎するよ」

「へ?」


歓迎するとは何に対してだと、矢央はひたすら考え込む。


「正式に入隊したんだよね。 てことは、君は本当に僕らの仲間になったんだよ」


土方に呼ばれた時に、永倉と矢央と共にいた藤堂。

矢央が呼ばれた理由はわかっていたが、あの後仕事に出掛けて行った藤堂は矢央の答えを知らぬままだった。


帰隊した時、出迎えてくれた沖田に「矢央さん正式に入隊されたよ」と聞いた藤堂も、正直複雑な想いだ。

だがしかし、矢央が此処に止まらなければならない理由が入隊により出来たことによって、藤堂には"安心"という二文字も頭に浮かんだのは確か。


だから、矢央の入隊を歓迎すると言ったのだ。


「……仲間……」


入隊を反対している人ばかりだと思っていた。

永倉には突き放されたままだし、沖田は普通だし、山崎は怪しいしと…不安ばかりだった。


入隊は自分で決めたことだが、間違っているのだろうか、と。

だが藤堂は笑顔で歓迎してくれ、その上に仲間だと言ってくれている。


不安が少し薄れた。


「でもね、入隊したからには更に大変なことだって辛いことだって起こる。 …僕は……矢央ちゃんが傷つくのを、見たくはないんだ」

「藤堂さん?」


急に俯いた藤堂が気になり、矢央は藤堂の表情を読み取れるようにと俯いた顔を覗き込む。



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