「おい、起きんか」

「――――んっ…」



いつの間にか眠っていた矢央を、山崎は遠慮なく蹴り起こす。


「痛い……」

「んな邪魔なとこで寝とる己が悪い」


邪魔な場所とは沖田と話ていた道場の入り口で、そういえば沖田は(?)と、辺りを捜してみる。


―――が、何処を捜しても沖田の姿はなく、代わりに山崎がいるので矢央は首を傾げた。


「沖田さんは?」

「……ああ、あん人なら先程出掛けて行きよったわ」


出掛けて行った?


沖田が出掛けることは可笑しなことではないが、山崎の間が気になった。

一瞬だが、眉が動いたような………




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