キョトンとした眼で見つめてくる表情は、やはり己の愛した人そのものだ。


しかし、ほんの少しだけ矢央には幼さというものがあり

お華とは、違った意味で守りたい存在になりつつある。



「私も、その一人ですから」



明るい君。

どんな逆境に遭遇しようとも、その透き通る眼だけは、いつまでもそのままで。


純粋な少女のままでいてほしい。



きっと永倉さんは、そう願ったんでしょうね。 お華のように血にまみれた最期を矢央さんには味あわせたくないと。


恐らく永倉以外の皆も、この時代に生きているはずのない、どこまでも純粋な少女に壬生浪士組の色には染まってほしくないと願って止まないだろう。


あの土方ですら。


しかし、悲しき事に矢央を導く運命は"平和"とはかけ離れた世界へと矢央を誘うように、

ゆっくり、ゆっくりと迫ってきていた。


それは、矢央だけではなく壬生浪士組にも………だ。




さてと、厄払いをしに参りましょうか。



気分を良くした矢央は知らない。

切なげに空を見上げた沖田を。


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