山崎の言い方に異論を唱えたのは、意外にも藤堂だった。


「何も知らないくせに、好き勝手言うなよ。
お華ちゃんは、誰かを傷つけられるような子じゃないんだぞ!」

「……では、違う者ではないんですか? 俺は知り得ない。ただ、事実を語るまでです」

「てめぇっ! 僕らが、見てないからって勝手言うなよっ?」



どうしても受け入れ難い藤堂は、山崎の胸倉を掴み上げた。


その藤堂の腕に、山崎の爪がグッと食い込む。


「なんで俺が嘘を言わなあかんねや。 信用ならん言うなら、間島に聞いたらええ。
せやけど、はなから受け入れる心構えがないんなら、間島の傷を更に深めるだけやということを知れ」

「――――っ。 フンッ…」


藤堂は、荒々しく山崎から手を放しドサリと腰を下ろす。



重苦しい空気を変えたのは沖田の発言だった。

沖田は、床を見つめたまま物静かな雰囲気を醸し出している。


「私は一度だけお華に会えたような気がしていましたよ」

「総司?」

「永倉さんもご存知でしょう。
大阪に出向き、力士と揉め事を起こした時、私は矢央さんに庇われた」


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