刃に傷つけられた腕の傷、そして山崎に庇われていたとはいえ山崎も油断ならない状況の中で、お華の攻撃から逃げ出した時の擦り傷。


あれから数日経っているとはいえ、完全に完治はしていないが、やはり普通の人より治りが早かった。


つまり、お華が言っていた"治癒能力"とは本当なんだと証明しているようなものだ。



「あいつぁ―…問題ばっか呼び寄せやがるな」


ボソッと呟く土方に、山崎は不審がる。


一息ついて、近藤に向き直った土方は真剣な表情で今考えていることを話始める。


「近藤さん。お華がどう関わってやがるかなんて、俺達にははっきり言ってどうでもいい。
死んでる奴のことを、あーだこーだ言ってる時じゃねぇんだよ。
それより、生きてる奴を最善に利用出来るように考える方が、よっぽど俺達のためになるたぁ思わねぇか?」


ニヤリと最後に笑う土方。


死んだ奴…とは、お華を表しているとわかっている。

土方の言う通り、既に亡くなってしまった者のことで頭を悩ます暇などない。


――ないが、それでも近藤にとってお華は妹のような存在で、家族も同然だったのだから、さすがに今の言い方は気にくわなかった。


.