「私、いつだって未来を知っていても食い止めることが出来ずに……この世を去った」
「……お華さんは、自分の未来も知ってたの?」
未来を知ってしまったとしたら、その人が傷ついてほしくない人だとしたら、どうにかして守ろうとするだろう。
でも、お華は死んだ。
矢央は疑問が浮かんだのだ。
皆を守ろうと思うなら、お華は死んではならない。
なのに、お華は悲惨な死を遂げている。
「自分の未来だけはわからない。 だから、私の死は仕方のないものだった。
だけど、惣次郎君を守れたから……あの人だけは、どうしても生きていてほしいから…だから、それは後悔してないの」
惣次郎とは、沖田のこと。
沖田がお華のことを語る時、他の人達とはまた違う空気を纏っていた。
穏やかで、でも悲しそうで。
けれど、とても愛しむような。
そして、それは今のお華も同じだった。
二人は、愛し合ってたんだ。
好きの想いを告げられないまま、二人は永遠の別れを迎え、沖田にとっては、愛しい人を自分の手で殺めたという苦難が残ったままだ。
矢央は、唇を噛み締めた。
「でも、どうしても……この世から去ることが出来なかった。もう少し、彼らの傍にいたくて……彼らが辿ろうとしている、未来を食い止めたくて」
お華は、雨水が溜まる地面から顔を上げると矢央を真っ直ぐに見つめる。
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