「あなたの考えていることは全てわかるの。
私も、あなた同様に彼らに傷ついてほしくないもの……」
慈愛に満ちた表情で、矢央にそっくりな少女は足を折った。
矢央はお華に背を向けたまま耳を傾けている。
「でもね、時代が動く時には何かしらの犠牲が必ず伴うもの。もしも私が、まだこの世に存在していたとしたら……彼らを、その時代の波から遠ざけることは出来たのかしらって」
いつになく語る。
夢の中では、いつも言いたいだけ言って消えてしまうのに。
だからこそ、矢央は確信した。
何かが起こる前触れだ、と。
「あなたに、本当のことをお話しします」
「……本当の、こと?」
ようやく矢央は身動きをとる、緊張感を漂わし警戒心を解かぬまま、お華を振り返った。
「……お華さん」
「ようやく、本当に会えましたね。 矢央さん」
年の頃合いは矢央と変わらないが、何処か落ち着き払っているからか大人びて見える。
着物姿ではなく、巫女の姿をしたお華を見て、本当に現代の自分を鏡を通して見ているようだ。
ただ、二人を見分けるなら髪色くらいだろう。
.



