駆け抜けた少女【完】


ザーッと、雨が降る。

老婆は俯きながら原田の方へ歩いてくる。


ヒタリ、ヒタリと薄汚れた着物から滴が伝っていた。


「婆ちゃん、傘もささず出歩いてると体壊すぞ」


声をかけるも老婆は何も言わず俯いたまま。


だが動きを止めた。


「婆ちゃん?」

「左之助、何をしてる! 行くぞ」

「お、おお! 今行くよ」


父親に呼ばれ、どうしたものかと頭をかいた原田は、そのままずぶ濡れの老婆をほっておくことに気が引けた。


声をかけてしまった手前尚更だった。


「婆ちゃん、この傘使ってくれ!」


自分がさしていた傘を老婆の手に無理矢理掴ませると、原田はそのまま父親の後を追いかけた。


そして――――………



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