駆け抜けた少女【完】



ありがとう……。


感謝の気持ちが広がる。


だが、この悩みには確信がもてなくて曖昧だ。


彼らが愛した少女が、もしかしたら何かをしでかそうとしているなんて、何の証拠もないのに言えない。


矢央も彼らに要らぬ心配や不安を持たせたくないからだ。



「大丈夫です! ちょっと、夏バテしてたみたいだから」


だから、誤魔化した。


ニコッと微笑みを浮かべる矢央を、多分誰も大丈夫だとは思わない。


が、本人が打ち明けたくない悩みを無理に聞き出そうとも思わない。


「そっか! でも、無理は禁物だよ! 俺達は仲間だ! いつでも頼ってくれていんだからなっ」

ふんと胸を張り、笑顔の矢央を見下ろす藤堂。


永倉も原田も井上も、しっかりと頷いていた。


"仲間"という言葉に救われる。

そうだよね。 考えたって解決するようなことじゃない。
みんなを心配させないようにしなきゃだよね!


今自分に出来ることは限られているだろう。

でも、その限られた中で唯一ずっと維持できるものは、笑顔を絶やさないことだと思った。


いつ気が狂うかわからない時代で歩む仲間達、どんなことがあっても、踏みとどまる時があっても

それでも、笑顔でいれば誰かを救えるかもしれない。


大切な人達を守るためには、まず自分の心を強くしようと誓った。



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