駆け抜けた少女【完】


力士対原田の勝負は、さすが腕力自慢な原田だけに良い勝負を展開させたが、やはりそこは力士といったとこ


組み合いが続き、最後にはあっさり場外へと投げ飛ばされた原田の負けとなる。


「こなくそぉ! あとちぃーっとだったのによ!」

「どこがだよっ! あんた、あっさり投げ飛ばされたじゃんか!」

「んだと、平助! よっしゃ、次はお前が行け!」

「ええっ! 絶対やだ!」



負けて気が立っていた原田の餌食となり、藤堂は首を絞められながらも抵抗を試みる。


「グヘッ」と、舌を出した藤堂に助け舟を出したのは、相撲とは一番無縁に思えた人物だった。


「次、私がいくっ!」


矢央は、やる気満々に挙手をして立ち上がった。


力士達だけではなく、浪士組も唖然と矢央を見やった。


本人は、袖を紐で止め裸足になりトテトテと土俵に向かうと、力士に真似事をして「よし!」と、一人意気込んでいる。



「いやいや、よしじゃないって!」

原田に首を絞められていた藤堂は、ハッと我に返ると止めに入る。


それを筆頭に、次々に矢央の馬鹿げた行為に抗議を始めた。



「お前、バカ言ってんじゃねぇ! さっさと、戻ってこい!」

「そうですよ! 矢央さんが突拍子もないことをしだすのは今に始まったことではないですが、さすがに不味いです!」

「矢央っ、怪我すんのが落ちだ!」


土方、沖田、永倉の制止に、矢央はニンマリと不適に微笑んだ。


「やってみなきゃ、勝負はわかりませんよ」



否、いくらなんでも無謀だろ。
と、その場にいた誰もが思った。



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