「朝っぱらから変な想像すんなよ。 助平!」

「ガハハハッ! 平助で、助平たぁ、いいな新八!」


廊下から歩いて部屋に入って来たのは、朝食を持った永倉と付き添いの原田。


にへらと崩した藤堂の顔を見てからかって楽しんでいる。


「新八さん、左之さん……」


ガクンと肩を落とす藤堂の傍で、矢央は起き上がり永倉と原田を見上げた。


「お! 目覚めたか、朝食持って来たぞ。 食えるか?」

「おはようございます。 うん、お腹ペコペコ」

「そりゃそうだろ! お前、二日は飯食わずで眠りっぱなしだぜ? 俺なら、死んでらぁ!」

「だな。 左之なら死んでる」

「ガハハハッ!」


賑やかで、見慣れた風景に、矢央は穏やかに微笑む。


良かった。

帰って来れた……と。



「もー…、何か拍子抜け…僕、このまま寝てもいい―…」


せっかくの良いムードも、この二人が来ては台無し。

藤堂は眠気に勝てず、布団から出た矢央と交代するように布団に潜り込んだ。


暫くすると、スーッと寝息をたてはじめる。


安心して眠る藤堂の寝顔は穏やかだが、やはり疲れがあるのか目の下にはクマがある。


「また、心配かけちゃったな…」

焼き魚の身を解しながら、良心が痛む。

心配かけてばかりだ、と。



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