沖田はわざとらしく矢央の肩を抱き寄せると、ムッとした藤堂が沖田を睨んだ。
「平助さん、これから矢央さんの歓迎の宴に行くんですよ。早く着替えてらっしゃいな?」
「……言われなくて着替えるよ」
スッと視線を逸らす藤堂、その心境は複雑なものだった。
(……なんか、腹が立つな)
普段ふざけた口振りの藤堂なだけに、矢央にとってその態度は不思議に思う。
体調でも悪いのかもしれない。
そんな勘違いをしていると、沖田に背中を軽く押される。
「さあ、矢央さん先に広間に行きましょうか」
「え、あ――…はい」
着替えるために一度部屋に戻らなければならない藤堂を待つより、先に行っていた方が良いかもと判断すると。
沖田に背中を押されながら進むなか、俯いたままの藤堂の背中に声をかける。
「藤堂さん! 先に行ってますね!」
「あ――…うん」
元気がない。
やっぱり、巡察で疲れてるのかもしれない。
「大丈夫かな……」
藤堂と別れた後、そうボソッと呟いた。
その隣で聞いていた沖田の表情も、また曇っていたことに矢央は気づかなかった。
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