「可愛くないッス……ズビッ…」
「いいえ、可愛いですよ。
私、小さい子好きなんです」
「…………」
それは、どういう意味だと睨まれても、沖田は平然と微笑んでいる。
子供扱い?
それでも、沖田に嫌われたわけではないとわかるとホッとした。
長い指が矢央の涙を拭うと、よしよしと頭を撫でられる。
「泣き止んだみたいですね。
それより、何処に行くとこだったのです?」
宴の会場になる広間とは逆に向いていた矢央に沖田は問うた。
残りの涙をごしごしと拭った矢央は、ん、と沖田の来た方角を差し、そちらを振り向いた沖田は「もしかして藤堂さんですか?」と尋ねた。
「はい。 一人じゃ行きづらいから、藤堂さんたちと一緒にいようかなって…」
「なるほど。 でしたら、部屋まで行かずとも、ほら…」
と、矢央の後ろを見た沖田につられ首だけを背後に向けた矢央は、ぱぁと笑顔を見せた。
「藤堂さんっ!!」
「…………」
藤堂は巡察から戻って来たところだったらしく昨夜の永倉と同じ隊服を着ていた。
お疲れ様と労いの言葉を言おうとしたが、藤堂の表情は重苦しく矢央ではなくにこにこ顔の沖田を見据えている。
まるで、睨んでいるともとれる表情に矢央の頭には(?)が飛び交っていた。
「藤堂さん?」
「―――あ、ん…矢央ちゃん?」
今気づいたみたいに、ハッとして随分下まで顔の位置を下げると、へらっとぎこちない笑みを向ける。
わかりやすいなあ―…。
と、沖田はクスッ笑った。
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