クシャクシャ―と、髪を撫でた手が離れると。



「だか、じゃじゃ馬な女はちょっといかんな。
もう少し、女らしくしろ」


「むっ! 女らしいですよっ」

「フンッ、どのあたりがだ?」


ニヤリと笑った芹沢に、グムムと矢央は口ごもるしかないのだった。


生まれて十六年間、炊事洗濯など一切やったことがなく家事はとことん苦手分野。


裁縫も、やれば毎回指に針を刺すし出来上がりの見栄えは最悪だ。


唯一ほめられるものがあるなら、やはり彼女のあどけなく愛らしい容姿と、その溌剌(はつらつ)さといったとこか。



……女らしく、か。


矢央が何やら考えている間に、芹沢、新見の両名は近藤を訪ねに行ってしまい。


藤堂は未だに矢央の抱き心地を堪能し、永倉に睨まれ。

山南は、そんなのどかな風景を眺めながら近藤の部屋の方角へとチラッと顔を向けた。


「……さて、どうなることやら」



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