駆け抜けた少女【完】


「このっ…無礼者がっ!!」


矢央の態度に激怒してしまった新見。

屯所の外にまで新見の罵声が響き、何事かと騒ぎを聞きつけ隊士達が続々集まってきた。


今まで近藤を始め数人だけが矢央と関わり、その姿を隠していた。

食事や風呂、厠なども誰かに付き添われながらと、慎重にしていたというのにこれで全て台無しとなる。


「や、山南さんっ! どうにかしてっ!?」

「藤堂君、そんな無茶は言ってはいけないなぁ」


副長である山南に事の収拾を頼むが、山南はそれを笑顔で流す。


流石に無理というものだ。


「無礼なのは、おじさんの方でしょ!」

「おじっ……このっ」

「ちょっとちょっとちょっと!」


矢央にこれ以上言葉を発せられれば、さらに状況は悪化するに決まっている。

藤堂は慌てて、何か言いかけた矢央の口を防ぐと「うむっ!」と、抗議の視線が真下から向けられる始末。


なんで僕を睨むかな〜、と苦笑いの藤堂。


「永倉よ、そこを退け」

「それは無理ですね」

「庇いたていたせば、お主も同罪と見なすぞ」


矢央に手を伸ばそうとする新見の腕を掴む永倉に、ギッと威嚇する新見。


…同罪って、なんのだよ。


騒ぎは次第に大きくなり、山南はとりあえず隊士達だけは持ち場に戻るようにと促した。

その場に緊迫感漂う静けさが暫く続くが、それをまたもや男の登場で雰囲気が変わる。