駆け抜けた少女【完】



「…………は?」


場に合わない発言に矢央以外の永倉、藤堂、山南は苦笑い、新見に至っては唖然と立ち尽くす。


「や、矢央ちゃん意味が違うからね」

「はい?」


(でも、匂うって……)


わけがわからず首を傾げた矢央に、藤堂は溜め息を吐きながら肩に顔をうずめる。


体重がかかり眉を寄せた矢央。


「お前、名は何と申す」


新見が尋ねると、ピクッと矢央が反応を示したのを永倉は見逃さなかった。


ヤバい、この展開は初めて矢央と出会った時と同じになるのではないかと、冷や汗を流す。

その予想は外れなかった。


「おい、黙ってないで名を名乗らぬ―…」
「人に尋ねる前に、まずあなたが名を名乗るのが礼儀でしょう?」

間髪入れずそう言った瞬間、新見は固まる。


そして、わなわなと体を揺すぶり始め、

「まずは、女である貴様が名乗るか!」

「礼儀知らずに名乗る名なんてありませぇん」


ベーッと、舌を見せる始末の悪さに三人は肩を落とした。


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