あの後、私たち二人は見つけられた。

すごく心配をかけたらしい伊織には後でものすごく怒られた。


無事に…とは言えないかもしれないけど、とりあえず終わったこの交流会。

仲良くなったとは思えないけど。


私の中にはそれよりも重大なことがある。

紘翔と二人っきりだったあの空間。

あの時だけだと思っていた感情が、今もほんの少しだけ残ってる。


モヤモヤするっていうか…
なんて言うのか良く分からない感情が、しこりみたいに残ってる。



「あんたさぁ~、咲煌寺の名前に縛られすぎなんじゃい?」

私の部屋で、そのことを伊織に話した。

帰ったきた答えは意味がわからない言葉。


「別に、縛られてないよ。苦痛になんて思ってないし…」

「じゃあ、自分の好きなように生きてみれば?」

「自分の好きなように生きてるつもりなんだけど」