バサッと音を立てて震える私の上に覆いかぶさったのは、紘翔上着。

え……?

私は意味がわからなかった。

なんで自分の上に紘翔の上着が掛けられたのか。


私のその視線に紘翔も気付いた。

「震えてる。寒いんだろ」


なんで……?


震えてるわけじゃない。

そう思うより先に浮かぶ疑問。

なんで?


今は二人きり。


仲のいい婚約者を演じる必要なんてない。


お互いに無関心。
干渉しあわない。
相手の弱みを探り、自分の弱みを隠す。


それが私たちの関係だったはずでしょ?

今までも、今でも、

これからも。