「こちらになります」

案内されたのは無駄に広い衣裳部屋。

そこには大量のドレスがある。

「お気に召したものがあれば申しつけください」

……って言われてもねぇ。

「ねぇ……」

「はいっ!何でしょうか」

「選んでくださらないかしら?私のドレス」

「えっ!?いっいえ…そんな………っ。しょっ少々お待ち下さいっ!!」

叫んで部屋を出て行ったと思えば、何人か別の女の人を連れて戻ってきた。

………こんなに大事にする気はなかったんだけど…。

「お待たせして申し訳ありませんでした」

一番先頭にいた人が頭を下げた。

責任者とかかな?

「いいえ、私のほうこそ我が儘を言ってしまってごめんなさい」

「咲煌寺様のドレスを選ばせていただけるなんて、そんな光栄なことはありませんわ」

その女の人の目配せでドレスが運ばれてきた。

薄いピンクの、ふんわりした感じのドレス。

「これはいかがでしょうか。お気に召しませんでしたら、代えさせます」

「これでいいわ。ありがとう」

私のその言葉に安心したように息をついて、女の人たちは部屋を出ていった。