「…天凪」

「ん……」

耳のすぐ近くで紘翔の声がして、私は重い瞼を上げた。

…………なんか外暗いし。

……寝すぎた?

「後夜際が始まる。行くぞ」

「え、あ…うん」

もうそんな時間…。

校舎の中は静かになってて、後夜際が行われるホールが異様に賑わってた。

綺麗としか言いようのないライトアップされた会場。

そこに近づくにつれて、ゆったりとしたテンポの曲が聴こえてくる。

ホールの入口の目の前に案内役の人たちが何人かいて、私たちの前にも2人の人が来た。

「……紘翔、また後でね」

首を少し傾けながら笑顔で言って、案内役の女の人にも微笑みを返す。

「転んだりしないように気をつけるんだよ」

紘翔も私に優しい笑顔を向ける。

「お願いしますね」

「あっ、はいっ!!」

……挙動不審。

女の人だけど、顔が赤い。

……何で??