正直挨拶とかは面倒としかいいようがない。

運ばれてきた紅茶を飲み終えるのも一苦労。

私が飲み終わったのと同時くらい、紘翔が私の腕をつかんで立ち上がった。

「申し訳ありません。少々用事があるので失礼致します」

一礼して歩き出す紘翔に続いて、私も会釈だけをした。

「紘翔?」

別にこのあと何も用事なんてない。

誰かと約束も何もないし。

てかあったとしても聞いてない。

これだけは絶対。

大事な用事なら忘れるはずだってないし。

紘翔が入ったのは空き教室。

「接待室?」

確かほとんど使われてない第二のほう。

なんでこんなとこに?

使われてないといっても接待室。

ソファとかはちゃんと手入れをしてある。

紘翔は私をソファに座らせて、その横に座った。

「大丈夫か」

何?

さっき紘翔が鍵を閉めたのを私は見た。