「う~ん。まぁ、政略結婚なんていいことないけどね」

財閥同士の関係上、ほとんどが政略結婚とかかわりがある。


もちろん伊織も。


「あたしは断ったし」

伊織も何回か婚約話を持ってこられたみたいだけど、全部断ったらしい。


伊織の家は基本自由だから。

出会ったばかりの時はそうは思わなかったけどね。


―――――――…

咲煌寺家主催のパーティー。

もちろん、咲煌寺家の一人娘の私も両親について挨拶をして回らなければいけないし、声をかけられることも少なくはなかった。


一通り挨拶が終って、私はテラスに出た。人がいなかったから。

しばらく空を見てると、誰かがテラスに出てきた気配がした。

振り返ってみると、そこには私と同じ年くらいの少女。


「あぁ~、疲れたぁ~……て、あ…」

思いっきり伸びをしたその女の子。

その子は、私に気づいてギクっという表情を見せた。

私がテラスの端のほうにいたから誰も居ないと思ったんだと思う。