ナオは少し驚いた顔をして話をきりだした。

「師匠の方が君をしっかりと守ってくれるんじゃ・・・ないのかな。
僕は最終手段のアイテムにすぎないわけだし。
千代ちゃんが楽しいところにいたほうが、僕は・・・」


「どうしてそんなこというの?契約さえできたら、もう出番まで知らないってこと?
私を守ってくれないの?」


そんなことはない!ずっと守るし、いつだって贄の役目だって果たすつもりでいる。
けど・・・・・僕は見た目と同じで君の保護者がわりくらいでしかないよ。
ルイゼといる君はとても楽しそうだ。
化け物と戦闘だというのに、すごく楽しそうで、輝いて・・・僕といるときよりずっと笑ってるみたいだし。」


「笑えないの・・・」



「えっ!・・・やっぱり僕は千代ちゃんを傷つけるようなことを自分ではわからないうちにもしてしまっているのかな。」


「笑えないのはあたりまえなんだってば。
初めて会ったときから、きれいだなって思って、緊張してドキドキして・・・その深い色の瞳でのぞかれたりしたら気を失っちゃいそうになって・・・。

先生は自分のことを年寄りくさくいうけど、ぜんぜんそんなことなくて、優しくて素敵でリリルさんに嫉妬もしてるし。
だけど契約のときのこと思い出したら、はずかしくて・・・でもうれしくて・・・。」


しばらく2人は赤くなったまま黙りこくってしまった。
すると、ナオは突然、クスッと笑いだした。


「自惚れていいのかな。
千代ちゃんに好かれてると思ったら、調子に乗って何をするかわからないよ。」


「あまやかしはしませんから、大丈夫ですぅ。」

千代がちょっぴり偉そうにそういうと、ナオは千代を抱きしめ軽く唇に口づけした。


「もう絶対離さない。」

「あ・・・ん・・・!?」


階下でゼアが大声をあげている。

「せんせぇ~~~~~~~!!急患でぇ~~~す!すぐきてください。」


ナオは表情を曇らせながら、千代から離れた。

「しょうがないですね。」

2人同時にそういうと急いで走りだす。