興味津々というか期待ふくらむといわんばかりの目を輝かせたリリルがルイゼの行く手をさえぎった。


「へぇ。俺に着いて来たいとは・・・勇気があるんだね。
言っておくけど、俺は仲間を守る習性はないよ。それでもいいのかな。」


「ええ。守ってもらおうなんて思ってないわ。私は少なくとも、千代よりはできる女ですからね。おじょうさんって呼ばれるのは継続の方がいいけど。」


しばらくルイゼはリリルの顔をながめながら黙っていたが、突然笑いだしてこういった。


「女の戦いも面白いかもしれんな。なかなか面白い弟子になりそうだ・・・勝手にしな。
じゃ、行くぞ」


リリルもにっこりして2人はその場から消えたのだった。




リリルがルイゼに同行したなどまったく知らない千代は診療所にもどると、ゼアが走り寄ってきた。

「はぁはぁ・・・千代ちゃん大丈夫だった?なんか今までと違って化け物の数がすごかったじゃない!」


「ええ、大丈夫よ。魔法のお師匠様がたくさんやっつけてくれたしね。あ・・・先生は?」


「それが・・・あんた先生に何かいったの?なんだかまた闇背負っちゃってるから・・・。」


「へ?また闇背負ってって・・・どういうこと?」


「まっ、千代ちゃんってそういうとこ鈍いのねぇ。過去とか未来の運命とか難しいことは私にはわかんないけどさ、ここにきてからの先生は誰よりも優しいし、繊細な心をお持ちな方なわけ。そこがまたいいとこなんだけどさ。

あんたがいない間も、いろんな痛みに堪えながらたくさん覚悟してたもの。
立ってるのもつらかった日だってあったのよ。でも、あんたと話すときはそんなことぜんぜん見せなかったでしょう?
いい歳してるのに千代ちゃんのこととなると子どもなんだから。」


「あのね・・・ゼアさん。私もそういう先生のお世話したいの。いつもお世話されるばっかりで、その上に贄だなんて・・・いつでも魂を使っていいなんて・・・やだ。
いくら救世主だからって言われたって、できないよ。
何でもしてあげたいっていわれても、つらいよ。
私に力があるなら、みんなを守ってあげるのは当然のことだし、いちばん守ってあげたいのは先生なのに・・・。」