オーヴィアという神官として、襲ってくる者たちは多人数で対処していけばいいが、近いうちに暴走する神が自分を止められなくなるとルイゼは話を続けた。
暴走する神の一部分は救世主の力をもってすれば、人または神が用意した世界に住む者の意思でコントロール可能であると。
神そのものが自分を制御するために、遥か昔から放出した方法であったと魔法使いの控
え室へ行ってきて解明したのはいいが、救世主と贄がどう連携するのか?
救世主だけが唱えられる呪文は贄を差し出すことだけで、唱えられるのか?
まだまだ解明されない部分が多すぎて、ルイゼは困惑し、焦っているという。
「君も、千代ちゃんが好きなのかな。」
「な・・・あんたといっしょにしないでくれる?俺はあんたより、知識もあるし、神が長い寿命をくれている存在なんだぜ。
救世主という存在を知ったときから、ずっと調べてまわっているから興味はある。
けど、千代は生まれてまもないヒヨコだからな。」
「生きてる時間を考えればそうなるね。でも、生きてきた時間とか得た知識とは違う印象を持っているように僕には感じるんだけど・・・。
僕の持ってる知識の中では、神に直接かかわる仕事を請け負ってる魔導師っていうのはまず人には近づかないときいたことがある。
それが救世主という肩書きだけで、いっしょに暮らしたり、大切な魔法を手とり足とり教えるものなのかな?」
「くくく・・・。あはははは。贄のくせに、言ってくれるな。
ま、もとから死んでるやつは恐れなんかないか。」
「で、いつ僕に死んでくれるのか?と質問するんじゃなかったのかな?」
ルイゼはさらっとナオに質問されて驚いた。
「やめた。あんたには質問するだけ野暮な気がする。せいぜい、千代といっしょにくい止められるとこまでがんばってほしい。そして・・・千代が行き詰ったそのときには・・・」
「わかってるさ。僕の役目と体はもともと神が用意したもの。必ずみんなを助ける。」
「あんたが消えたら千代は悲しむだろうなぁ。」
「悲しんでいるヒマはないと思うし・・・そこでくじけそうになってたら、君が叱咤激励してくれればいい。」
「そこまで覚悟してるなら、俺は何もいうことはないよ。そろそろもどろう。」

