開かない扉


オーヴィアが落下してくる千代にふれようとした瞬間、空中で千代をさらってナオの前に姿を現した人物がいた。

その人物は人形の家のおもちゃをナオに手渡した。


「丁寧に扱ってよ。そのケースに千代が入ってるから。」

そういうと、オーヴィアに向かって炎の柱をかぶせる。

ボォォォォォーーー


オーヴィアは大蛇の口の中に入って難をのがれたかに見えたが、人形の家のおもちゃから蒼白い光線が発せられると大蛇はオーヴィアを口にいれたまま、溶けて消えさった。


「ほぉ~上達してるじゃないか。」


「感心してる場合じゃないから、出して!ここから出してくださいよぉ。師匠!」


「師匠って・・・・おまえは・・・!」


にやりと笑って人形ケースを消し、千代を外へ出した人物は、千代をさらって魔法の使い方を教えたルイゼだった。


「契約は無事に終わったようだな。あんたは元気になって、千代は魔法が格段パワーアップしている。いいことだ。」


「師匠!ありがとうございますぅ。私を追ってここまできてくれたの?」


「追ってというか、まぁ・・・その調べ物というか・・・。
ところで、千代さん。贄のおにいさんにきちんと俺のことお話してくれてた?
視線が痛い気がするんですけどぉ・・・」


ナオはルイゼを冷たい眼差しで、にらみつけていた。


「君が知っていることをすべて話してはくれないか?」


「覚悟はできているって顔してるな。・・・いいだろう。」

ルイゼはナオと2人だけでさっきまで千代がいた人形の家へと入った。

千代は2人の意味深な会話や素振りが気になって仕方がなかったが、真面目な顔をしたルイゼには何も言いだすこともできず、待っていることしかできなかった。