開かない扉

大トカゲの化け物がすごい勢いで突進してきた。

それも１０頭が押し合いへしあい状態で、公共物をなぎ倒しながら千代目がけてつっこんでくる。


千代は目をとじて、小さく口が動かしていたが、やがて赤い目をキッと見開いたかと思うと大トカゲの集団目がけて赤い光線を発した。


チュン！ジュッ。。。


少し、焼き肉を焦がしすぎたような臭いがしたが、大トカゲの形はすべてなくなっていた。


ゼオと診療所の患者や、近所の人々が驚いた顔をして、千代を見ている。

「千代ちゃん・・・なんかすごいことしたわね。一瞬で化け物が・・・まだ信じられないわ。でも、幻じゃないわね。
それに、ちょっと会わないうちに、何だか堂々と魔法使ったりして・・・すごいじゃないの。」



「あ、あたし・・・今、魔法を使った。なんでこんな威力？
ねぇ、ゼア。私の目を見て。」


「やだぁ、見つめあうのは私じゃなくて、先生とでしょ？ボケないでよ。」


「ちがうったら！瞳の色を見てほしいの。赤い？今何色になってる？」


「え、瞳の色って・・・今は・・・あらぁ・・・千代ちゃんいつのまに先生と同じ色になってるの？コンタクトは・・・って前から使ってないわよねぇ。」


「私の本当の色は黒のはずよ。さっきみたら真っ赤だったの。」


ナオがその話をきいて、小声でつぶやいた。

「救世主としての力なのでは？朝、目の色が違ってるなって思ったときは、今と同じ僕と同じ色だった。
それは僕と契約したから。
そして、危険がせまったとき、赤い目になって、魔法を使う瞬間まるで燃えさかるようにぎらぎらしていた。

そして、終わったらまた僕と同じ色。・・・あ、手を見せてごらん？指先がやけどしてる。」


「やけど？」