救世主と贄としての契約・・・2人が近付けば、すでに決まった筋書きができあがっていた。
お互いが相手を呼び、近づき、ひとつであろうとする契約。
千代の体の痛みと発熱はスッとおさまってしまい、ナオは、ハッと我にかえって体を起こさねば・・・と思った。
「だめ、まだ起きちゃ。」
千代にそう言われて、ナオはまだ呪縛がきいているのかと驚く。
「今、先生が起きちゃったら、私すごくはずかしい。もう少しだけ、このままで・・・ね。」
「痛くない、大丈夫かい?」
「ええ。初めてなのに、私・・・」
「ん、どうした?千代・・・」
「こんなこと言ったら、はしたない子だって嫌われちゃうかな。」
「何?」
「さっき、あまりに熱くて、苦しくて記憶がなかったの。
だから・・・あの・・・嫌じゃなかったら、最初から・・・教えてください。」
「千代・・・。まだ君の中にいる状況で、そういう言葉は禁物だよ。」
「え、だめなの・・・」
「いいや。次に君がもう嫌だと泣いたって、そのお願いはきけないってことだよ。
そんなかわいいお願いされたら、俺の理性なんてとっくに吹っ飛んでしまったから。
ほしいものを思う存分いただくだけ・・・。」
ナオは千代の唇にはげしくキスを始めた。
「ん・・・う・・・・あぁ・・・ん。」
今度は熱さではなく、頭の中が真っ白になるような感覚と冷たいと思ったナオの体があったかく感じた。
((ナオは私を本当に愛してくれている・・・贄としてではなく))
「ナオ・・・」
「千代・・・ずっと愛してる・・・やっと言えた。」
千代は診療所へきて初めてナオの部屋で朝をむかえることとなった。

