ルイゼは体を震わせて叫んだ。
「俺の雇い主って何だ?俺の知ってる記憶は偽りだというのか?」
「師匠、落ち着いて。あと1年の期限っていうといつになるの?」
「そだ・・・えっと、書かれた日と思われる日から1年というと、な!!!
あと、1か月半しかない・・・。うそだろ。おぃ」
「ええっ!あと1カ月半しかないの?
そんなことで、この世界を守れるのかしら・・・。」
ルイゼは千代の手をつかんでつぶやいた。
「この世界を守ることは、神様の半身(つまり破壊神)を倒すことだ。
読めなかった部分をおまえなら読める可能性があるということだ。
明日、俺はおまえを贄のもとへ魔法でとばしてやるから、とにかくおまえは契約しろ。
それから、何かわかったら、これ渡しておくから、これに話しかけろ。」
「これって・・・招き猫?」
「いいんだよ、ただの招き猫じゃない。招き猫のおもちゃに通信機能をつけただけ。
俺と話せるから。いいな。」
「うん。それで師匠はどこにいくの?」
「俺は、魔法使いが神様に雇われるときに使う部屋を見てくる。
部屋といっても、神と同席する部屋だからな、どんなものだったか・・・」
「雇われたときにいたんでしょ?なのにどんな部屋かわからないの?」
「ああ。部屋といっても特殊な空間かもしれないし、記憶が消されてるだけなのかも。
とにかく、俺なりに調べてくるから、がんばってみろ。」
「うん。・・・ルイゼ、必ずまた来てね。」
「おぅ。必ず、あの呪文を言わせてやるからな。また会おう。」
そして、翌日の朝、千代は懐かしい診療所の入口の前に立っているのだった。
ルイゼは小さな魔法陣を描いて千代を中心に飛び込ませたのだ。
「すごい、まるで どこでも〇ア~よね。うふふ。
さてと・・・玄関から入るのがちょっと抵抗あるなぁ。どんな顔して入ればいいのかしら。う~~~~ん、ちょっと入りづらい。」
「僕についてくればいい」
「あ、すみません、そうです・・・ね・・・って・・・」

