ゼアはとても心配そうにたずねた。

「千代ちゃんと夜に話すようになって1週間くらいたったときが最初だったかな。
それから、ときどき・・・いや、今週になってから毎日か・・・」


「毎日!!て。」


「あと2週間足らずで千代ちゃんがもどってきてくれるというのに、正直困ってる。
彼女の前でこんなふうになったら、僕はどうなってしまうのか?
それに、抗うと胸が痛い。息ができなくなってしまうほど、痛くなるんだ。
自分に回復魔法かけようとすれば、痛みと熱さで燃え尽きそうになってしまうし・・・。」


「何とかならないのかしら?それって千代ちゃんと契約すれば治るとかじゃないのかしら?」


「契約か・・・それは・・・だめだ。」



それからナオは熱さと痛みに堪えながらも、贄の呪縛に抗いながら1週間以上過ごした。

そして、千代がもどるまであと3日となった。



ゼアはナオには内緒でリリルに贄の呪縛について調べてもらっていたが、その返事がリリルから電話できた。

「えっ!そうなの。契約すれば、症状はなくなって元気になるのね。」


「そうみたいよ。この世界の考古学者や魔法使いはそういう記録があるっていうの。
贄は何か強い意思を持った魂に神様が仮の体を与えたもの。
意思の力とか精神力が生きていく力なわけだから、贄としての目的を果たすためというのを何よりも優先するみたい。

その第一歩が救世主との契約よ。だから、契約を早くしないと、いずれ本当に燃え尽きちゃうかもしれないわ。
もう、どうして私が救世主じゃないのよぉーーー!
私だったら、すぐに楽にしてあげられるのにぃーーーー!」


「まぁまぁ、リリルさん。リリルさんがいい人だっていうことは私もみんなも知ってることだから落ち着いて。
先生だって、リリルさんにお世話になってることは自分でよくわかってるんだし、相手が神様のレベルだとどうしようもないのが現実ですもの。


「そうなのよ。だから余計に腹がたつじゃない!
どうして千代なのよ。私じゃないのよ、救世主がさぁーーーー!もう切るわ」


ガチャン。。。。。