その後、しばらく会話が途絶えてしまったので、千代はあわてて声を出した。


「ごめんなさい。私1か月はどうしても必要なの!
理由は詳しく説明できないけど、1か月で私にとっての魔法の基本を会得したいの。
だから・・・」


「好きにすればいいよ。千代ちゃんが理由もなく、知らない男についていくような娘じゃないのはわかってるし、話をしてればうしろめたいことがないこともわかるから。」


((うしろめたいこと・・・! ルイゼにときどき、キスされてるなんて言えないよぉ・・・))

「前に大トカゲを出した神官が言ってたでしょ?魔法を繰り返して使って、レベルアップすれば・・・みたいなこと。
ルイゼは攻撃魔法を存分に仕えるフィールドを造ることができるの。」


「ほぅ・・・」


「簡単にいうと私がお人形みたいにちっちゃくなって、特別なおうちに入るの。
そのおうちだとね、どんなに炎があがっても爆発起こしても、暴風が起こっても誰にも迷惑がかからないし、私がどんくさくって、自分の魔法で大けがに遭いそうになってもルイゼが失敗魔法を消してくれるから、存分に練習できるの。」


「へぇ、あの誘拐犯くんって悪い魔法使いじゃなかったんだね。」


「そうみたい。私にとりつくマリア様も知ってるらしいし、時空をゆがめようとしてる神官たちが敵みたいだから、ルイゼは味方ってことになるよね。」


「そういうことになるかな。僕に心配するなと言ってたけど。」


「私もまだ何かしら隠してるな~とは思うんだけど、1か月の間に少しずつ聞き出してやろうと思ってる。だから、先生1か月だけわがままさせてね。」


「しょうがないね。・・・・じゃあさ、千代ちゃんのわがままをきくかわりに、僕の頼みも1つだけきいてくれないかな?」


「何?」


「会えない間・・・戻ってくるまでの間・・・こうやって必ず僕と話をしよう。
いいかな、約束にしても。」


千代は行動を束縛する男は嫌いだと元の世界でも、診療所にいたときもしゃべっていたので、ナオの言葉に少し戸惑ってしまったが、今回は簡単にナオと会話の約束をしてしまった。