「絶対にもどりますぅ!ちょっと用事があるだけ。もどるまでときどき、こうやってお話してくれること!返事は?」


「うん。」


「リリルさんと2人きりであわないこと!」


「え・・・あ、うん。・・・あっ・・・そろそろ話すのは限界みたいだ・・・。
明日また、話してもいいかい?結界の強さ次第だけど。」


((結界?あ・・・ルイゼが結界を張っていたんだわ。))

「もちろんよ。ルイゼの張った結界なんてぶっ壊してやるから・・・だから・・・先生?」


「ああ。待ってる・・・・・・・・・・」


ナオの魔法通信が途切れてしまっても、千代は耳に手を当てたまますわりこんでいた。


そしていつのまにか、ニヤニヤしているルイゼが前に立っていた。


「思う存分甘えてみた~~~って顔でもないみたいだな。」


千代はルイゼをにらみつけて、

「わざと結界をはずして、出かけたフリして私を見て楽しんでいたのね。」


「あら、怒ってる?・・・俺はほんとに買い物に出かけたし、おまえが誰と何を話していたかなんて聞いてない。」


「うそ!私をさらってからずっと結界張って、ナオ先生から私の居場所がわからないようにしていたんでしょ。それをわざと連絡取れるようにしたんだから、どこかで水晶玉の中でものぞいてたんじゃないの?」


ルイゼはクスっと笑うと、そのあとゲラゲラ大笑いした。

「あははは・・・おもしれぇな。おまえ。
魔法使いといえば水晶玉か?残念だけど、俺はそんな原始的なもん持ってねぇぞ。
その気になれば、おまえらの話くらい意識だけ集中すれば盗聴できるし、おまえの贄をここへ即座に呼ぶこともできるんだが?」


「えっ、そんなすごい魔法を?
だって、ナオ先生はテレポートしたら魔力の使い過ぎで3時間はまともに歩けないのに。」