開かない扉


「私、強くなるから・・・。がんばるから、私の師匠になって。
それと、とりあえずここで1カ月魔法の練習しながら、考えちゃだめ?

1か月後にナオ先生と会って契約できるようにするから。」


「千代・・・。」


「うわ、やっと名前で呼んでくれたね。やっぱりルイゼは優しい人ね。
ふふっ、・・・・!・・・チュッ♪」

((!!!!!!!!!))

「なっ、さっきのヤメテは何?おぃ!」

ルイゼは慌てて飛び起きて、千代から離れた。

「あらぁ・・・ほっぺにチュッしただけなのに、ルイゼったら・・・ククク。」


「なんつ~救世主だ。自分の方が犯されかけてたくせに、この余裕はなんだ!」


泣いてた顔もどこへやら。
形勢逆転で、千代はすっかりいたずらっこの笑顔になって笑っている。


そんな千代を見て、ルイゼはナオの前に張っておいた結界を解いたのであった。


((話くらい好きにすればいいさ。贄は必ず、千代にコンタクトをとるはず。
千代は1カ月って言ったけど、久しぶりに会って契約なんてできないだろうからな。))


「おい、魔法の特訓を明日から始めるから、そのつもりでいろよ。
とりあえず、腹ごしらえできるものを買ってくる。
逃げるんじゃね~ぞ。」


「うん。」


ルイゼはわざと食料を買いに出かけた。

そして、10分もたたないうちに、千代の耳に聞き覚えのある声がした。


「千代ちゃん、聞こえるかい?」


「えっ・・・うそ。先生? いったいどうして?」


「ゼアに手伝ってもらって、僕の魔法を増幅してもらってる。長い時間はもたないようだから、単刀直入にきくよ。
今、どこにいる?」


「あ、あのね・・・先生、私はまだ先生のところにはもどりません。」


「えっ!?千代ちゃん、どういうこと?僕は君を助けに行こうと・・・」

ナオは千代の返事に驚いた。