開かない扉

千代が振り返って歩こうとすると、ルイゼが腕をつかんでこういった。


「今から、贄のところへもどって、何て言う気だ?」


「え、だから契約を・・・」


ルイゼがにやりと笑って千代を押し倒す。

「いやぁーーー!やめてよ。何すんのよ。やめてぇーーー!」

千代が叫ぶのもおかまいなしに、ルイゼは魔法で千代を簡単に全裸状態にしてしまうとあお向けの千代の上からルイゼは服をきたままのしかかった。


「お願い、やめて。やめてよぉーーー!あぅ。うう・・・」


泣きだす千代の耳元でルイゼがささやいた。


「俺を裸のナオに置き換えて、この続きをやるんだと想像してみろ。」


「(ひっく・・・ひっく・・)ナオ先生はこんなことする人じゃない・・・しないよ。」


「わかりの悪いやつだなぁ。俺も脱がないとまだわからないか?・・・これが契約だ!

契約するから脱いで私を抱いてくださいって言えるのか?」


ルイゼは指をパチンとならし、千代を服を着ている姿にもどした。
しかし、千代の上にのしかかったままの状態で千代の涙を指でぬぐう。


「すまない。今の魔法は目を錯覚させる魔法だ。おまえは実際に服をぬいだわけじゃないから、俺はおまえの体にはさわっちゃいない。・・・あ、今、目の横はさわったけどな。」


千代はルイゼを押しのけるわけでもなく、天井を見つめながら言った。

「ルイゼはいい人、ううん、いい魔法使いさんだね。
ナオ先生に手荒なマネはしないから安心して待てって言ってたよね。
おかしなこという誘拐犯だと思ってたんだぁ。」


ルイゼは顔を赤らめ、千代から目をそらして返事をする。

「予定とはかなり違ったけど、これも俺の仕事のうち。この世界や時空を守るため、救世主には成長してもらわなければならないからな。
まさか、俺が直々にこういう指導せねばならんとは、想定外だけどな。」

そして、千代から離れようとするが、今度は千代がルイゼの首に腕をかけ、抱きしめてささやいた。